妻を亡くし、最初の数年は気落ちしていましたが、次第に元気になり庭いじりをしながら悠々自適に暮らしていた祖父。その祖父の住んでいた自宅が息子の借金のせいで無くなってしまいました。 祖父は80代になって突如住む家を失い、小さなアパートに引っ越すことになりました。 話しの発端は自営業の息子が作った借金でした。私からすると伯父にあたるその人も事業の失敗で自宅を失ってしまいましたし、養う家族もいましたので少しは同情するところもあるかもしれません。どうしてもお金が必要だったのだろうと思います。しかし祖父をほとんど騙したような形で、祖父の自宅(土地と家屋)を借金の担保にしていたことに憤りを隠せませんでした。 私の父を含めほかの兄弟たちには黙っておくよう口止めをしていたらしく、それでもやはり不安に思った祖父が、私の父に相談したことから発覚しました。 勿論父は大激怒、すぐに知り合いの弁護士さんに相談しましたが時すでに遅く、祖父の土地家屋は借金のカタに抑えられてしまい、祖父は住むところを失いました。 木々が沢山育ち、花をきれいに植えていた祖父の庭も、私たちが幼いころから何度も泊まった家も全部なくなりました。家が広かった分やはり家具や物も多く、狭いアパートには入りきりません。なので愛着のあった家具なども手放したそうです。引っ越ししてからは家が狭くなったから掃除が楽だ、と言って元気に過ごしていましたが、数年前に亡くなりました。そんな息子とは縁を切ればいいのに、と父は思ったそうですが、長男ということもあり、最期は看取ってくれるはずだと祖父は伯父の事を悪くは言いませんでした。