「大学なんて行かなくて良い」、そう親に言われたら、自分だけの力で進学するしかなかった。 希望の大学に合格するために猛勉強したため、アルバイトをする余裕はなく、学費等は奨学金で賄った。 大学生にはなれたが、遊んでいられる余裕はない、生活費を稼ぐために複数のアルバイトを掛け持ちした。 コンパに誘われても断った、アルバイトを掛け持ちしても、親からの援助が全く無いと生活はいつもカツカツだった。 アルバイトに追われると、「なんのために大学に通っているのだろう?」、しかし、進学を機に家を出てしまったため帰る家はなく、頑張って大学は卒業した。 社会人になると同期入社の同僚らがコンパに誘ってくれるのだが断った、なぜなら、奨学金を返済しなくてはならないから。 同僚、「メシを食わないの?」 私、「ダイエット中なんだ」 奨学金の返済と一人暮らしをしていると、価格がリーズナブルな社食でさえ、たまにしか食べられなかった。 同僚からのコンパの誘いは断れるのだが、取引相手から誘われると断ることは出来ず、お金が無かった私は借金をした。 カツカツな生活を送っている私が借金をしたのは、ボーナスで返済出来ると思ったから。 入社1年目のボーナスはメッチャ少ない、しかし、少ないのは前もって知っていたためガッカリはしなかったのだが、入社2年目に例のウィルスが爆発的に流行したため会社の業績が悪化し、予定していたボーナスの半分も出なかった。 マズイ、ボーナスが半分だと借金を完済出来ない。 学生ならアルバイトを掛け持ち出来るのだが、正規雇用されていると副業は禁止、副業が見付かれば解雇もあり得る。 売れるものは全て売った、全て売っても二束三文にしかならなかった。 爆発的なウィルスにより出社は出来ず、リモートで仕事をすることになった。 私、「リモートで仕事が出来ますか?」 先輩、「無理だな」 私、「仕事が出来ないのに給料は貰えるのですか?」 先輩、「貰えるだろ、俺たち正規雇用されているのだから」 正規雇用だと仕事が無くても給料は出ているのだが、取引先はバンバン倒産している。 私、「うちの会社は大丈夫ですか?」 先輩、「どうだろうな」 私、「会社が潰れたら奨学金を返済出来なくなります」 先輩、「俺だって住宅ローンが返済出来ないよ」 借金を抱えているのは私と先輩だけじゃない、コンアをして社会人を楽しいんでいた同僚も借金を抱えており、この頃は同僚が集まると借金の話しばかりしています。