借金が原因で社会から孤立した幼馴染み

昔から仲の良い幼馴染みが離婚をした。親しい間柄でも、どうして離婚をしたのかは聞けない、幼馴染みも自分のことをペラペラ話すタイプの人間ではない、だから、長く親しくいられる。
離婚をしてからの幼馴染みをギャンブル場で良く見掛けるようになった、家族に会えない憂さ晴らしをしているのだろう。
友達から幼馴染みが某娯楽施設の駐車場に良くいると聞かされた、その手の情報は他の友達からも聞いており、私自身、幼馴染みがコンビニ等の駐車場にいるのを何度も目撃していた。
温かい季節なら良いのだが、気温が下がれば体調を崩さないか心配になり、駐車場にいた幼馴染みに声を掛けると、その時はじめて車中生活を送っていることを聞かされた。
私、「会社のほうは大丈夫なの?」
幼馴染み、「まあなんとか」
私、「うちにおいでよ」
幼馴染み、「悪いよ君の家族に」
私、「なに水くさいことを言っているんだ」
幼馴染みを無理やり家に連れて来ると、私の妻は「遠慮しなくて良いのよ」。
幼馴染み、「シャワーだけ使わせて」
妻、「お風呂沸かすから、先に食事をしてて」
私の家に客が来るのは珍しいため、お客さんと一緒に食べることに子供達は喜んでくれた。
子供、「オジサン、美味しいでしょ、ママが作った御飯?」
幼馴染み、「・・・」
幼馴染みが答えなかったのは涙を流していたから。

幼馴染みが風呂に入っている間に、妻は布団を敷いてくれた。
風呂から出た幼馴染みに、妻は「子供達も喜ぶから泊まってね」
その日は、久しぶりに幼馴染みと寝ることになった。
他人の家では落ち着かないのか、幼馴染みは布団から出たり入ったりを繰り返す。
私、「酒でも飲むか?」
幼馴染み、「酒は辞めたんだ」
私と話していても幼馴染みは布団から出たり入ったりを繰り返したのは、何度も携帯電話に着信があるから。

幼馴染みだけでは解決出来る問題ではないと思い
私、「借金があるの?」
幼馴染み、「うん」
私、「いくら?」
幼馴染み、「100万くらい」
私、「100万なら貸すよ」
幼馴染み、「100万は元金だけ」
私、「利息は支払えているの?」
幼馴染み、「もう無理。子供の養育費も支払えなくなった」
私、「(元)奥さんは借金のことを知っているの?」
幼馴染み、「知っていると思うけど・・・」

幼馴染みが見せてくれたのはATMで支払った明細書、1件あたりは数千円と少ないのだが、幼馴染みは複数の業者からお金を借りており、サイフの中は明細書でいっぱいだった。
私、「ヤバイところからも借りているの?」
すると幼馴染みは携帯電話を見せてくれた、届いたメールは脅しに近い文句がズラリ、別れた家族から取り立てる内容も沢山あった。
しかし、それだけではない、別れた奥さんからも幼馴染みを追い込むような厳しいメールが届いており、着信履歴は元奥さんとお金を借りている業者ばかり。

会社の方まで催促の連絡があり居づらくなった幼馴染みは会社を辞め、日雇い等をして借金返済をしていたため、借りていたアパートは家賃を支払えず追い出されていた。
まともなところから借りているなら私が建て替えられるのだが、別れた奥さんとも幼馴染みはトラブルを抱えているため、代理人に入ってもらうことにした。
代理人がお金を借りている業者さんに連絡をすると、催促は全くなくなった、別れた奥さんからも無くなった。
代理人に入ってもらうと、返済しなくても良い利息まで支払っていたことが分かり、余計に支払ったお金は返金され、そのお金は別れた家族の養育費に使われた。
父親としての義務を果たせるようになると、別れた子供と会えるようになり幼馴染みに笑顔が戻った。

 

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